溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~
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「魔性の男ですか……?」
「なんだそれ」
パスタを取り分けながら、瀬戸くんはふっと笑った。
彼と一緒に帰るのは久しぶりだった。もしかすると、はじめて彼が私の部屋に来たとき以来かもしれない。
あれから一か月と少し、私たちはまた同じパスタ屋に並んで座っている。
「芽衣ちゃん、悪い子じゃないけど口は酸素よりも軽いのに……。社内に広まったらどうするの?」
「念を押しといたから平気だろ。広まったら広まったで、かえって動きやすくなるし」
「そうかな」
「ああいうタイプは味方にしとくと何かと便利だからさ」
「やっぱり魔性の男だったんですね」
私にパスタを盛った皿を渡すと、瀬戸くんは笑みを広げた。
午後八時過ぎで、店内はやっぱり混雑している。小さなお店だから基本的に予約は受け付けていないけれど、瀬戸くんが電話をかけるとすぐに席を用意してくれるらしい。
なんでも、彼がここの味を気に入って通い詰めるうちにオーナーと仲良くなり、融通を利かせてくれるようになったのだとか。
瀬戸生吹は、後輩王子の野村くんと負けず劣らずの人たらしなのかもしれない。
「しっかし、市原が相手じゃ野村は完全に尻に敷かれるな」
白ワインのグラスに口をつけながら、彼はくつくつ笑う。私は皿の上で回転させていたフォークを止めた。
「魔性の男ですか……?」
「なんだそれ」
パスタを取り分けながら、瀬戸くんはふっと笑った。
彼と一緒に帰るのは久しぶりだった。もしかすると、はじめて彼が私の部屋に来たとき以来かもしれない。
あれから一か月と少し、私たちはまた同じパスタ屋に並んで座っている。
「芽衣ちゃん、悪い子じゃないけど口は酸素よりも軽いのに……。社内に広まったらどうするの?」
「念を押しといたから平気だろ。広まったら広まったで、かえって動きやすくなるし」
「そうかな」
「ああいうタイプは味方にしとくと何かと便利だからさ」
「やっぱり魔性の男だったんですね」
私にパスタを盛った皿を渡すと、瀬戸くんは笑みを広げた。
午後八時過ぎで、店内はやっぱり混雑している。小さなお店だから基本的に予約は受け付けていないけれど、瀬戸くんが電話をかけるとすぐに席を用意してくれるらしい。
なんでも、彼がここの味を気に入って通い詰めるうちにオーナーと仲良くなり、融通を利かせてくれるようになったのだとか。
瀬戸生吹は、後輩王子の野村くんと負けず劣らずの人たらしなのかもしれない。
「しっかし、市原が相手じゃ野村は完全に尻に敷かれるな」
白ワインのグラスに口をつけながら、彼はくつくつ笑う。私は皿の上で回転させていたフォークを止めた。