溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~
・
駅前にある喫茶店は全国に展開するチェーン店で、夜の十二時まで営業している。
絨毯張りの床に、ゆったりと配置された高級感のあるソファ。一般的なカフェよりも値段が張るけれど、ゆっくり話をするには打ってつけの場所だった。
といっても、のんびり昔話をするためにここに来たわけではない。
テーブルの上ではコーヒーがふたつ、手を付けられないまま湯気を立てている。章介さんは一度も視線を逸らすことなく私を見ていた。
「話したいことがあるなら、どうぞ」
まっすぐの視線に多少気後れしながら言うと、彼は身を乗り出した。
「聞いてくれるのか」
私はうなずいて、コーヒーに砂糖を入れてかきまぜた。濃い色の液体は、グラニュー糖をのみ込んでもまったく色を変えない。
「妻と付き合うきっかけは、上司だったんだ」
章介さんがぽつぽつと話し出す。耳朶を撫でるような心地いい低い声は、私が好きだったころと何ひとつ変わらない。
「新入社員の頃から世話になっていた常務に、娘に会ってほしいと言われて、断れなかったんだ」
「いつ?」
つい言葉を挟むと、章介さんは一旦言葉を切り、ためらうように続けた。
駅前にある喫茶店は全国に展開するチェーン店で、夜の十二時まで営業している。
絨毯張りの床に、ゆったりと配置された高級感のあるソファ。一般的なカフェよりも値段が張るけれど、ゆっくり話をするには打ってつけの場所だった。
といっても、のんびり昔話をするためにここに来たわけではない。
テーブルの上ではコーヒーがふたつ、手を付けられないまま湯気を立てている。章介さんは一度も視線を逸らすことなく私を見ていた。
「話したいことがあるなら、どうぞ」
まっすぐの視線に多少気後れしながら言うと、彼は身を乗り出した。
「聞いてくれるのか」
私はうなずいて、コーヒーに砂糖を入れてかきまぜた。濃い色の液体は、グラニュー糖をのみ込んでもまったく色を変えない。
「妻と付き合うきっかけは、上司だったんだ」
章介さんがぽつぽつと話し出す。耳朶を撫でるような心地いい低い声は、私が好きだったころと何ひとつ変わらない。
「新入社員の頃から世話になっていた常務に、娘に会ってほしいと言われて、断れなかったんだ」
「いつ?」
つい言葉を挟むと、章介さんは一旦言葉を切り、ためらうように続けた。