溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~

「七年前だ。すまない。そのとき既に光希と付き合ってたんだが、まさか大学生と付き合ってるとも言えず……断っても角が立つと思って、会うだけ会ったんだよ」
 
常務の娘――つまり、今の彼の奥さんはもともと総務部で働いていたらしい。大人しい性格でなかなか男性との縁に恵まれず、父親が、目をかけていた章介さんと引き合わせたのだという。

「一度会ったら、向こうにだいぶ気に入られてしまって、断るタイミングを計っていたんだが……」
 
結局子どもができて、章介さんは彼女と結婚することになった。

「こんなことは言いたくないが、子どもだって、本当に俺の子かどうかはわからないんだ」
 
ため息がこぼれた。身体がずぶずぶとソファに沈んでいきそうだ。必死な形相の章介さんから、私は視線を逸らす。

「俺が本当に好きで一緒にいたかったのは、光希なんだよ」
 
伸びてきた両手に右手を包まれた。瀬戸くんとは違う厚みのある手のひらだ。
 
この手で、章介さんは私に触れながら、その一方で妻となる女性を抱きしめ、彼女との赤ん坊を抱き上げていた。

「光希のためなら離婚するよ。会社を辞めたっていい。だから頼む。やり直させてくれ。俺はやっぱり君じゃないとダメなんだ」
 
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