溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~


『俺の生きがいになってみせてよ』
 
今思えば、あれは、私が求める最上級の言葉だったのだ。

「彼は、私を本当の意味で愛してくれてる。必要としてくれてる。そのおかげで、私は自分に自信をもつことができたの」

「俺だって光希を愛してるよ!」
 
章介さんが声を荒げて、店内のざわめきが一時的に消える。周囲の反応に気づき、彼は気まずそうに目線を下げた。

「最近現れた男より、俺のほうがよっぽど光希のこと」

「常務からの紹介だから断れなかった。つまり、そういうことだよ」
 
彼のつぶやきを遮って、私は続けた。

「章介さんにとって、上からの圧力に抗ってまで守る存在じゃなかったんだよ、私は」

「違うんだ、光希」

「もういいの。ごめんなさい。あなたとやり直す気はありません」
 
私は立ち上がった。章介さんの顔が歪む。
 
彼が今感じている絶望の奥には、まばゆいくらいの光が眠っている。そのことに、はやく気づいてほしいと、切に願った。

「八年間ありがとう。奥さんとお子さんと、どうか幸せになって」



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