溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~
* * *
「西尾先輩、体調悪いんですか?」
となりから、芽衣ちゃんが心配そうに私をのぞき見る。
エレベーターホールの隅に設置されたソファベンチは、社員のちょっとした休憩場所になっていた。
缶の紅茶を両手で包みながら、私は「大丈夫よ」と彼女に笑いかける。完全に空元気だ。
「ほんとっすか西尾さん、無理しちゃダメですよ。西尾さんはいつも頑張りすぎなんですから」
正面に立った野村くんが、眉を曇らせた。
会議室で昼食をとったあと、芽衣ちゃんから相談があると連れてこられると、ここで野村くんが待っていた。相談というのは社内恋愛におけるアレコレを知りたいということらしい。そんなの、私だってよく知らないのだけど。
「有休とか、一緒に取っちゃってもいいんですかね?」
「頻繁じゃなければ大丈夫なんじゃないかな……」
芽衣ちゃんの質問に、常識で考えられる範囲で答えていく。
「ですよね。ほらメー子、月イチなんてやっぱ無理だって。周りにバレたらどうすんだよ」
そんな裏工作に励まなくても、君たちのことはたぶんみんな気づいてると思うよ……。
心の中でつぶやいて、ため息をこぼす。