溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~



これは何かの間違いだ――

1LDKの私の部屋に、瀬戸生吹がいる。

「あの、何か、作りますか?」

「いや、いい」

コンビニで買ってきたビールの缶をローテーブルに置いて、彼はきょろきょろと部屋の中を見回す。

「あんまりじろじろ見ないでください……」

突然の来訪で片付けが間に合わず、部屋の中は雑然としている。ベッドを背にしてあぐらをかいている彼が、隅に積み上がった雑誌を見やりながらつぶやいた。

「テレビ、ないんだ」

「あんまり見ないので……」

「座れば?」

立ち尽くしている私に、彼は自分のとなりのクッションをぽんぽんとたたく。

私は別のクッションを引き寄せて、彼の斜め横に腰を下ろした。

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