溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~
「あの、やっぱり何か作ります」
「いいから、座ってなって」
腕を掴まれて、そのまま固まった。
「ていうか、その敬語どうにかなんない? そもそも俺たち同期だし、敬語を使う必要なんてないよ」
きれいな二重の目に見つめられ、思わず顔をそらす。
「すみません、癖なので」
「なんだか距離を感じるんだよ。せめて会社以外では普通にしゃべってほしい」
「……気をつけます」
はあ、とため息が聞こえた。
瀬戸生吹はまっすぐに人を見る。冷酷なまでに整った顔で見つめられると、身動きが取れなくなる。
「俺がこわいの?」
じっと注がれる視線に、身体がこわばった。
こわいです、ある意味。
今の彼に、表情はない。眉が凛々しいから見ようによっては不機嫌そうにも見える。会社ではもう少し柔らかな表情をしていたはずなのに。
「ちょっと……状況がよく、わからなくて」
「なんで? 簡単だろ」
ビールの缶を手に取り、彼はつぶやく。