溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~
「俺はこの人と結婚を考えてます」
瀬戸くんがいきなり口火を切った。私は彼にならって背筋を正す。
杏子さんはつまらなそうにお茶をすすり、彼女の夫である瀬戸家の主人は私をじっと観察している。
大樹君が母親似なのに対し、瀬戸くんはやっぱり父親似だったらしい。お父さんの意志の強そうな二重の目は瀬戸くんにそっくりだった。ただし、その雰囲気は息子とは比べ物にならないくらい厳格だ。
「考えるだけなら自由よ。瑠璃さんとの結婚も考えてちょうだい」
お母さんがそっけなく言って、瀬戸くんが顔をしかめた。
彼と杏子さんは相性が悪いのかもしれない。瀬戸くんは普段はとても穏やかなのに、彼女に対してはすぐ語気を強める。
「だからそうじゃなくて! 結婚は光希としか考えられないって言ってるんだ!」
「そんなの認めないって言ってるでしょう! いい加減にしなさい生吹!」
「なんと言われようが、俺はこの人と結婚します。どんな嫌がらせをされても、絶対に曲げる気はない!」
瀬戸くんが私の肩を引き寄せた。意思を貫こうとする強い気持ちが、掴まれた肩から伝わってくる。
「光希とのことを認めてくれるなら――」
真剣な目で、彼は言った。
「ほかのことは全て、あなたに従います」