溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~


夕食は瀬戸家でごちそうになった。

とはいえ、寿司職人がネタケースを持参して目の前で握ってくれるという、生まれてはじめてのケータリングサービスに度肝をぬかれた上、常時杏子さんの厳しい目にさらされて、あまり食べた気がしなかったというのが正直なところだ。

そんな私を気遣って、瀬戸くんは職人さんにお土産用のお寿司を頼んでくれていた。

「俺もここのほうがゆっくりできるし」

私と一緒にマンションまで帰ってきた彼は、ローテーブルに寿司桶とコンビニで買ってきたビールを並べた。

「帰りはどうするの?」

明日は仕事だから、ここまで車を走らせてきた彼も自宅に帰るはずだ。マンション前に停めたままの車を窓から見下ろしていると、瀬戸くんが缶ビールのプルトップを開けた。

「タクシー使うよ。車は代行を頼んだから」

つまり、今日は遠慮なく飲めるということだ。ラグに座ってスタンバイしている彼の横にあわてて腰を下ろした。

「おつかれさま」

小麦色の液体で満たされた薄いグラスを静かに打ち合わせる。カチ、と控えめな音がすると、ガチガチに固まっていた身体が一気に解けた。

「それにしても、驚いたよ」

塩昆布とごま油で簡単に作ったカブの浅漬けに箸を伸ばし、瀬戸くんが思い出したように笑う。

「まさか光希が、親父を篭絡しにかかるとはね」

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