溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~
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ドアの前に立っていたのは、ビビッドトーンの赤いワンピースを着た瑠璃さんと、夕食時にも顔を合わせた大樹くんだった。
私がドアを開けるなり、瑠璃さんはびっくりしたようにあちこち目線を走らせた。
「なによここ。パティの部屋と同じくらいの広さしかないじゃないの」
「パティ?」
「パティっていうのは瑠璃の家の飼い犬だよ」
大樹君がご丁寧に説明してくれて、私は頬をひくつかせながら、派手な服装のお嬢様を見下ろした。
「こんなむさ苦しいところに、いったい何のご用ですか?」
「あなたに用なんかないわ。生吹に用があるの、あっ!」
ニットを着直していた瀬戸くんがちょうど部屋から顔を出し、瑠璃さんが廊下に駆けあがった。土足のままで。
「ちょ、瑠璃さん、靴!」
「生吹! ひどいじゃない! どうして勝手に決めちゃうのよ!」
彼女は廊下の真ん中で瀬戸くんに掴みかかった。私はその足元に屈みこみ、彼女の足首を掴んで片方ずつパンプスを脱がせる。まるでいつもそうやって誰かに靴を脱がせてもらっているみたいに、瑠璃さんはすんなりと私の手に従った。
彼女と接していると、たまに自分が召使いにでもなったような気分になる。
自分の世話焼き気質にため息をつきながら、十センチ以上高さがありそうなヒール靴を三和土に置くと、玄関に立ちっぱなしの大樹さんと目が合った。
「あ、上がります?」
「いや、俺は瑠璃のお供で来ただけだし」
彼が薄く笑った瞬間、瑠璃さんの声が狭い廊下に響いた。
ドアの前に立っていたのは、ビビッドトーンの赤いワンピースを着た瑠璃さんと、夕食時にも顔を合わせた大樹くんだった。
私がドアを開けるなり、瑠璃さんはびっくりしたようにあちこち目線を走らせた。
「なによここ。パティの部屋と同じくらいの広さしかないじゃないの」
「パティ?」
「パティっていうのは瑠璃の家の飼い犬だよ」
大樹君がご丁寧に説明してくれて、私は頬をひくつかせながら、派手な服装のお嬢様を見下ろした。
「こんなむさ苦しいところに、いったい何のご用ですか?」
「あなたに用なんかないわ。生吹に用があるの、あっ!」
ニットを着直していた瀬戸くんがちょうど部屋から顔を出し、瑠璃さんが廊下に駆けあがった。土足のままで。
「ちょ、瑠璃さん、靴!」
「生吹! ひどいじゃない! どうして勝手に決めちゃうのよ!」
彼女は廊下の真ん中で瀬戸くんに掴みかかった。私はその足元に屈みこみ、彼女の足首を掴んで片方ずつパンプスを脱がせる。まるでいつもそうやって誰かに靴を脱がせてもらっているみたいに、瑠璃さんはすんなりと私の手に従った。
彼女と接していると、たまに自分が召使いにでもなったような気分になる。
自分の世話焼き気質にため息をつきながら、十センチ以上高さがありそうなヒール靴を三和土に置くと、玄関に立ちっぱなしの大樹さんと目が合った。
「あ、上がります?」
「いや、俺は瑠璃のお供で来ただけだし」
彼が薄く笑った瞬間、瑠璃さんの声が狭い廊下に響いた。