溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~
「俺が洗うよ」
「え、いいですよ。私が」
「じゃあ、一緒にやろう」
瀬戸くんがスポンジで食器を洗い、私が泡を流すという流れ作業で、効率よく洗い物は片付いていく。
ふたり並ぶにはキッチンは狭く、ときどき肩が触れて、そのたびに私の心臓は音を立てた。そして、そんな自分を非難するように気持ちが沈む。
あの人は、こんなふうにキッチンに立つことなんてなかったな。
「ため息ついて、どうかした?」
間近で聞こえた声に飛びのいた。普通にしゃべるだけで髪に吐息がかかるなんて、やっぱりこの部屋のキッチンは狭すぎる。
「なんでもないです。あの、残りは私がやるので。ありがとうございました」
「そ?」
タオルで手をぬぐい、部屋に戻ろうとして、彼が振りかえる。
「なあ、ゲームしないか?」
「ゲーム?」
いたずらっこのようにニッと笑い、瀬戸伊吹は乾燥機が稼働している洗面所を見やる。
「服乾くまで、外に出られないし?」
「いいですけど、うちにはゲームなんてないですよ」
実家で弟が夢中になっていたテレビゲームやモバイルゲームを思い出していると、瀬戸くんが声を弾ませた。
「敬語使わないゲームな。次に敬語使ったらキスするから」
「えっ!?」
「はい、スタート」
「ちょ、ちょっと」