溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~


「待ってよ。瀬戸くん、本当は私のことなんて好きじゃないでしょう? なにか……助けを求めてるだけでしょう?」

『西尾が、俺の生きがいになってみせてよ』
 
ずっと疑問だった。あの日屋上でそう言った彼は、本当に生きる意味を見出せなくて死のうとしていたのだろうか。
 
あのときの言葉よりも、私はあとで言われたセリフのほうが引っかかっている。

『西尾と一緒なら渡り合えるのにって――』
 
彼は私と一緒に何かを乗り越えたいのだ。そういうふうに私には感じられた。
 
瀬戸くんは、私に想いを寄せてくれているわけじゃない。
 
ただ、私にあるらしい何かの力を欲しているだけ――

「好きだけど」
 
はっきりと口にされ、私はぽかんと口を開けた。

「え――?」
 
私に覆いかぶさりながら、彼は私の頬をやさしく撫で、囁くように言う。

「光希の顔とか雰囲気とか、性格も全部、俺の好みだよ」

「そ、それは、ただタイプってだけで……」
 
思いがけない言葉が嬉しくてにやけそうになったけれど、必死で押しとどめた。タイプっていうのは、好きとは意味合いが違う。

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