溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~
それは木曜日の夜だった。
仕事から帰って部屋で一段落しているとき、章介さんの携帯から着信があり、私は嬉々として電話に出た。
付き合って八年が経っても、私の中の恋心は薄れることなく、画面に表れた彼の名前を見るだけで胸が高揚した。
『時田の妻ですが、昨晩、時田はそちらにお邪魔していましたね』
言われた意味がわからなかった。
「妻?」と繰り返すのが精一杯だった。
『時田章介の妻です。時田とのあいだに、五歳になる子どももおります』
いたずら電話だと思った。だって章介さんは私と八年間、付き合ってきたのだ。
でも実際に奥さんだという女性を目の前にすると、現実は鈍器となって私の後頭部を殴打した。
明くる日私の部屋を訪ねてきたのは、薄い青色のワンピースを着た清楚なイメージの小柄な女性だった。
章介さんと同年代で、同じ会社に勤めているという彼女は、私の部屋に入ると険しい表情一つ見せずにテーブルに写真を並べた。
「結婚式のときの写真です。六年前の春に式を挙げました」
美しいウェディングドレスに身を包んだ彼女のとなりで幸せそうに笑っているのは、まぎれもなく章介さんだった。