溺甘上司と恋人契約!?~御曹司の罠にまんまとハマりました~
・
都営線から乗り換えて瀬戸くんが降りたのは、私も何度か利用したことのある山手線のとある駅だった。近くには由緒正しい名門大学や本格的な日本庭園があり、一方で裏通りには閑静な住宅地が広がっている。
近くには有名な結婚式場もあって(何を隠そう、私がこの駅を利用したのも友人や同僚の結婚式に出席するためだった)都会の喧騒からほどよく離れつつ利便性は抜群で、都内の高級住宅街と区分されるエリアだ。
そのなかの小路を、瀬戸生吹は慣れた様子で歩いていく。
「え、ちょっと、瀬戸くん?」
見上げるような巨大な家々が立ち並ぶなか、車が三台以上入りそうなガレージを備えた豪邸の前で、瀬戸生吹はようやく立ち止まった。
「着いたよ」
「え……」
「ここ、俺の家」
目線を上げると、防犯カメラと目が合う。
「まままって、これ、マンションかなにかじゃ」
アイアン製の門の脇で瀬戸くんがパネルを操作する。門がかちりと音を立てて、ゆっくり開いていった。よく見るとパネルの上に『瀬戸』と表札が出ている。
「さ、入って」
口から魂がこぼれていく気がした。