蛇の囁き
「カガチさん。一昨日はありがとうございました。私、御礼を言い忘れてしまって」
頭を下げてお礼を言うと、カガチさんは一瞬驚いたように目を見開いたが、にっこりと目を細めて「どういたしまして」と微笑んだ。
「今日はお参りで?」
「はい。私、来年大学受験なので。合格出来るように白蛇さまにお祈りしにきました」
そう言うと、カガチさんは嬉しそうだった。
そして、白蛇にまつわる伝説を分かりやすく丁寧に説明してくれた。
白蛇とは幸運の象徴であり、脱皮する蛇は不死の象徴でもあるという。
ここの白蛇はアルビノではなく白変種であるらしく、この森の岩が白いため、岩肌に合わせて白く変化したらしい。
古代は五色の蛇とも呼ばれ、その肌色を保護色として様々な色に変化してきたという。