蛇の囁き


 突風が森の中を吹き抜け、彼の言葉はさらわれてしまった。

 ぱたぱたと小鳥たちが飛び立った。

 何だろう、そう思った瞬間、強い風が吹き付け、風に押されるように私は後ろにバランスを崩してしまった。



 泉に落ちる──!



 血の気が引いた瞬間、加賀智さんが私の腕を掴んで支えてくれた。

 私は安堵しながらお礼を言ったが、彼は厳しい表情で木々の奥を見ていた。




 その時だ、


 “蛇神様、穢れし人の子なぞ捨て置けば宜しいではありませぬか”


 ──怒りをたたえた低い女の声が直接脳内に入り込み、頭が割れんばかりに響き渡ったのは。


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