蛇の囁き




 だが、一年とは先の見えない永遠に思えるほどの膨大な時間だった。祖父母の家から実家に戻ると、更に空虚な気持ちになった。どうしても堪らなくなった時は、白い鱗にキスをした。

 学校も新学期になった。

 一日の授業が終わり、陽が沈んで、私は一と数えた。

 その次の日も陽が沈むと数を一つ増やした。

 毎日毎日、ひたすら陽が沈むのを数えて、夜は彼の鱗を握りしめて眠った。そんな日は決まって彼の夢を見た。




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