君に溺れた
ライバル
真凛と再会して、気持ちを確かめあった。

お互い6年をどう過ごしてきたのか。

真凛が父親と再会したことを嬉しそうに話した。

月に1度は会っているようだ。

俺もぜひ会いたいと言ったら真凛は父親に話してみると言ってくれた。

ずっと一緒にいたかったが、真凛は今、都内の病院で看護師として働いている。

週末も交代勤務のため、なかなかゆっくり会うことが出来なかった。

真凛は夜勤明けなど時間を見つけては俺のマンションに来て食事を作ったりしてくれる。

今日は真凛の23歳の誕生日だ。

俺はプレゼントとケーキを買って真凛のマンションで待つ。

今日は日勤だから18時には終わると言っていたがさっきLINEがきて少し遅れるとあった。

俺は真凛マンションの部屋の前で待つことにした。

しばらくして階段を上がってくる足音が聞こえたので振り向くと、佐藤という医者がこちらに向かってくる。

俺と目が会うと怪訝な顔をした。

向こうもブランドショップの紙袋を持っている。

しばらくして真凛が帰ってきた。

「大地さ・・・佐藤先生!?どうしたんですか?」

「今日誕生日だろ?」

「あっ!」

「ふっ自分の誕生日忘れるとか真凛らしいな。」

そう言って真凛の頭に触れようとしたので、俺は腕を掴んだ。

「気安く彼女に触らないでほしい。」

「はっ!?あんたこそ誰だよ?」

「あの、佐藤先生!!こちらは一ノ瀬大地さん。私の・・・彼氏です。」

「彼氏?」

「はい。以前私を助けてくれた大切な人です。」

「・・・そうか。今日は帰るよ。これ、受け取って。誕生日おめでとう。生まれてきてくれてありがとう。チュッ。」

「!?先生!!」

俺は咄嗟のことで体が動かなかった。

佐藤はプレゼントを渡して真凛の頬にキスをした。

真凛はすぐに体を引き離し、顔を赤らめている。

「ふっ可愛いな。真凛、少し一ノ瀬さんと話したいから中に入って。」

「・・・わかりました。」

「ありがとう。」

「・・・」

「真凛の恩人なのかもしれないけど、俺も7年前に真凛と出会ってる。必ず真凛をあんたから奪う。」

「俺には真凛だけなんだ。だから俺も、あなたに譲る気はない。」


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