名前を呼んで
〜冬馬side〜


「かったりぃー!」


俺の名前は葛城冬馬(カツラギトウマ)


冬に生まれた午年だからこの名前に


なったらしい。


まぁ、俺にとってはどうでも良い事だ


この春から俺は花咲風学園に通うことに


なった


理由は一つ。家から近いから、それだけだ


俺には両親がいない。


小さい頃に親が離婚して、母に引き取られ


母子家庭で育てられてきた


母は絶対に再婚しようとはしなかった。


そう、最後の最期まで……


ココまで言えば分かると思うけど、俺の


母さんは死んでいる


中学に入って直ぐのことだった。


有り難いことに家は金持ちだったし、


自立も出来ていたから一人暮らしをする


事に決めた


父さんが一緒に暮らそうと言ってくれた


けど今の家を離れる気は毛頭ない。


っと、こんな話をしている暇はないんだ


一人暮らしだと色々と気が楽でどうしても


グダグダと生活してしまう。


そのせいで今日も遅刻ギリギリなのだ


ったく、目覚まし仕事しろや!←ェェェエ


そんな事を考えながらちんたら歩いてたら


「ドンッッッ」


地味に腹のあたりが痛てぇ


誰かにぶつかっちまったみたいだった。


俺は身長もまぁまぁ高いし、運動部だった


から筋肉も程よくある


そんな男にぶつかったら女は直ぐに


よろけてしまう。


だがいつまで経っても相手の反応がない


仕方なく「大丈夫ですか?立てますか?」


と俺の方から女に声をかけた


自分でも何でそんなことしたか分からない


俺は基本女子は苦手な方だ


キーキーと、やたら五月蝿いからな


そして俯いている女に手を差し出した。


するとゆっくり女が顔を上げた。


ソイツと目が合った瞬間、俺は固まった
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