キャラメルと月のクラゲ
初恋は実らない。
だから人生で二番目に好きなヒトと結婚したほうがいい。
誰かがそう言っていたのを聞いたことがある。
私の短い人生の中で一番大好きなヒトは誰で、初恋のヒトは誰なんだろう。
そんなこと、もう忘れてしまった。
私の「好き」は常に私を愛してくれるヒトのために差し出している。
そこに、愛がなくても。
付き合ってはいけないと言われたとしても。
だって、ダメって言われたら、もっと好きになってしまうでしょ?

***

バイトで家に帰った深夜の僕の部屋に、シズクが訪ねてきた。
おすそ分け、と両手いっぱいの野菜と料理、そしてメロンを持っていた。
教えてくれたら迎えに行ったのに。
いいの。がんばって持ってきたからいっぱい食べてね。
そして彼女はまた泊まっていった。
その寝顔を見ながら、僕はカーテンの隙間の夜空を見上げる。
僕達はまだ何の結果も出せないまま、曖昧な距離を続けていた。
もうすぐ夏休みが始まる。

***

「好きだという嘘がほんとうになる瞬間は私に来るんだろうか」
「手を伸ばせば届く距離で僕は彼女に何をしてあげられるんだろうか」
「すれ違っていくこの思いが何なのかを知りたいと思った」
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