キャラメルと月のクラゲ
なぜだろう。
彼女の繰り返す恋愛依存が、僕にはさみしいと駄々をこねているコドモのようにしか見えなかった。
そして、その対象の先に僕がいないことに、僕はさみしさを感じた。
僕はそのことをシズクには言い出せなくて、今日もまたその寝顔を見ながらつぶやいている。
ごめんね、シズク。

***

結局、カニクリは泊まってくれた。
有り合わせの食材で軽い食事を作ってくれる彼女を私は、友達と呼んでいいのだろうか。
そして、椋木くんは私のことを友達と思ってくれているんだろうか。
それとも私を、救いようのないビッチだと思っているのだろうか。
そんなことを考えると眠れなくて、私は嫌そうに同じベッドに入ってくれたカニクリを起こさないようにベランダから見上げる月に祈った。
どうか彼が私のことを———
けれどその先を思うことすら、私には躊躇《ためら》われた。
そう思う価値が、私にはないから。
こんな私が彼を、好きになってはいけないと思ってしまったから。

***

「何で付き合ったんだろう」
「何を好きにだったんだろう」
「眠れない夜にキミのことを思うと、とても胸が苦しくなる。これはきっと———」
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