チャット恋愛注意報!!(新)
「……俺さ、仕事辞めようって思ったの、お前らと会ったからなんだ」
「えっ……わ、私たちのせいっ……?」
「いやいや、悪い意味じゃなくて、良い意味で言ってんの」
フジヤマはクスクスと笑いながら、遠くの空を見る。
普段は馬鹿なことばっかり言って けらけら笑うのに、今はとても穏やかな顔だ。
「俺が仕事してたのは、チャットする環境を守るため。 金が無きゃ携帯もパソコンも使えなくなるだろ? だから黙々と働いてきたんだよ。 6年前に居なくなったユキと再会出来るとしたら、チャットしかねぇからさ」
「……うん」
「でもあの日、みんなで笑い合いながら思ったんだ。 『俺はもういい歳したオッサンなんだな』って。 まぁ、当たり前っちゃ当たり前だけど」
そう言ったあと、フジヤマは小さく息を吐き出した。
「『高校生ルーム8』では ずっと高校生の頃のように過ごせるけど……でもやっぱりリアルは違う。 俺はもう23だから、『高校生ルーム8』を卒業するべきだろうなって思ったんだ」
……あの日、フジヤマは凄く楽しそうに笑ってた。
だからあの時に そんな風に考えていたなんて、思ってもいなかった。