オーロラの歌



言われてみれば、確かにそうだ。


椎本くんは大抵一人だし、軽いコミュニケーションさえも滅多に取らない。


それなのに、挨拶をしたら返してくれた。


どうして?


自惚れてもいいの?



「どうしたの、琉美」


「え?」


「顔、赤いよ」



試しに頬に触れてみたら、火傷しそうなほど熱くなっていた。


体温が急激に上昇して、瞳が潤む。


きっと、椎本くんのせいだ。



「わ、私、飲み物買ってくる」



佳那は、唐突に席から立った私を不思議に思いながら、「行ってらっしゃい」と私を見送った。



教室の近くにある自動販売機で、炭酸ジュースを購入する。


早く、全身に帯びた熱を冷ましたくて。


平常心を取り戻したくて。


期待を押し返すように、その場で炭酸ジュースを一口飲んだ。



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