オーロラの歌




事実とは程遠い噂は、あっという間に広がっていった。


俺が誤解を解こうとしても、多くの人が俺の見た目を見て、信じようとはしなかった。


だんだんと誤解を解くことに無意味さを感じていき、友達だけが信じてくれればいいや、と噂をどうでもよく思い始めた。


けれど、俺がいくら噂を放っていても、日にちが過ぎる度に噂は一つまた一つと尾ひれをつけていった。



『駿くん、あたしと付き合わない?』



噂が流れてから、肉食系女子から告られる機会があからさまに増えた。


もちろん、返事は「NO」一択。


俺は必ず告白を断っていただが、女子に冷たくできず、中途半端に優しく、気さくに接していた。


そのせいもあり、しつこい奴は毎日のように俺につきまとっていた。




そんな、ある日のことだった。


登校して靴を履き替えようとした俺は、下駄箱の前で立ち止まる。



『靴が、ない』



下駄箱の中には、昨日まであったはずの俺の靴が忽然と姿を消していた。


もしかして、いじめか?


俺、いじめられるようなことしたっけ?



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