オーロラの歌



今、俺に向けて言った?


“誰か”との距離が、なくなっていく。



『デス・ディメント』



深く、深く。



『デス・ディメント』



奥の方まで。



『デス・ディメント』



唱えられた呪文が、俺の感情を犠牲にして、光を傷つける。


“誰か”は、俺の横を通り過ぎてすぐ、足を止めた。



『止まりなさい、ゼロ』



俺は、“誰か”の命令に、抗う術なく静止する。


催眠魔法といい、この口調といい、いちいち癇に障る。


ゼロと同じ魂である俺が、間違うはずがない。


こいつは、大嫌いなイービルだ。



『あっちの世界ではできなかったけれど、こっちの世界ではオーロラ達を殺すわよ』



嫌だ、と言いたいのに口が動かない。


くっそ。


悔しくてたまらない。



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