闇に咲く華
一見、マジメでおとなしそうな印象の彼女だけど、真っ直ぐに私の目を見て話してくれる。
「よろしく」
私がそう言うと、小池さんは「行こう」と言って教室を出た。
準備して教室を出ると、小池さんは廊下で待っていてくれた。
すでにチャイムは鳴った後。
今さら走ったところで間に合うわけでもないので、歩いて向かう。
「別校舎でちょっと遠いの。でも遅れても大丈夫。あの先生、どうせ定年間近でやる気ないし怒られないから」
先生なのにやる気ないって、それはそれでどうなんだろう。
「少しは、慣れた?」
小池さんが、黙っているのも変だと思うのか、気を使って聞いてくれる。
「うん、まあ」
慣れるもなにも、期待がないぶん、すべてを受け入れるしかないという感じなんだけど。
ただひとりに慣れた、という意味では少しは慣れたと思う。
今の状況は、大勢の友達に囲まれて過ごしていた、前までの私には考えられない。
「そう。じゃあ、よかったね」
よかった……のかな。
素直によかったとは言えないけれど、いつまでも過去を引きずっていても始まらないとも思う。