闇に咲く華


終わったことを考えても仕方ないんだから。


てことは、よかったでいいんじゃないの。


そんなことを考えていると、小池さんが階段を降りながらふいに呟いた。


「御影君……今日、やっと来たね」


「うん、そうみたいだね」


「隣で嫌かもだけど、ああ見えて別に普通の人だから」


あれが普通? どう見ても、普通じゃない気がする。


「普通なの?」


思わず聞き返すと、小池さんが笑って言う。


「普通っていうか……怖くないって意味。少なくとも学校では静かだから」


学校では静かって……じゃあ学校以外では?


とは思っても、あまり深入りしたくなくて、それ以上聞くことなく黙っていると……。


「なにかわからないこととかあったらいつでも聞いて。私でよければ、だけど」


そう言った小池さんは、少し照れたような笑顔を見せた。


そんなふうに言ってもらえるのは、本当はとてもありがたいと思う。


だけど、もしまた裏切られたら?


過去を思い出すと、素直に頷くことができず。


「うん、ありがとう。でも、大丈夫……」


そう言って目を逸らすと、小池さんはそれ以上なにも言わなかった。

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