闇に咲く華
いったいなんなの、ふたりしてサラッと失礼なことを言うのやめてくれない?
大牙と壱の会話に内心腹が立っていると、大牙が再び私の肩を抱いて歩き出す。
「ごめんなぁ、姫乃ちゃん。壱はちょい人に対する思いやりがな。ほら、いるだろ? そういうやつ。愛情に飢えて育ったのが原因かもな」
「なんの話だよ」
壱が呆れた声を出す。
「人に対する、情ってのが何かわかってねえんだな」
「くだらねえ」
「だから、可哀想なやつだと思って、許してやってくれよ」
「もういいぞ」
「ここだけの話し、あいつ親に捨てられた過去があんだよ」
捨てられたって……。
本当かどうか怪しいと思っていると、大牙が私を見た。
「いやマジで。名前も壱って言うんだよ」
それは知ってるけど。
「イチはねえよなぁ、さすがにねえ。どう考えてもただの数字だろ? かっこよさげな漢字付けりゃあいいってもんじゃねえよ、適当にもほどがあんぞ」
それはそれでいい名前だと思うけど、適当と言われればそんな気もする。