闇に咲く華
ちょっとウルッときただけだから。
だから、泣いてるってほどでもないし。
そもそも泣いたからって、白玖になぐさめてもらわなくても……。
そう思ったとき、白玖の身体が離れ、私の髪をクシャっと掴んだ。
「かわいくねえな」
少し突き放したような口調。
雑に掴まれる髪。
かわいくないという否定的な言葉。
それなのに、頭に触れている手からは、驚くほど優しい空気が伝わって来た。
「姫乃」
思いっきり隣を意識して、返事が出来ずにいると……。
「明日も一緒、だよな?」
一緒に行くことを、あえて確認するように言われ、なぜか胸がむずがゆくなった。
「わかったから、放して」
そう言って逃れるように身体を動かすと、妙に優しい空気を出す男が笑いながら手を放した。