闇に咲く華


一瞬湧いた感情を、消すように自分にそう言い聞かせる。


「姫乃」


名前を呼ばれて顔を上げると、それだけの相手……が私を優しく見ていて。


「俺は思ってんぞ。お前と帰ってもいいってな」


優しい笑みを向けられ、少し焦る。


ちょっと待って、今日の白玖、なんか変じゃない?


「急になに」


「なにって、だからお前と一緒に帰っても……」


「そうじゃなくて、どうしてそんなこと言うの」


だって、白玖がそう思う理由が、いったいどこにあるの。


「そう思うからだ」


「え?」


「自分が思ったこと言うのは、悪いのか?」


どうしてそんなことを言われるのかわからない、という顔を見せられる。


「悪いとか言ってないし、そうじゃなくて」


「なくてなんだよ」


なんだよって……。


白玖と話していると調子が狂う。

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