闇に咲く華


その日、重大なミスをしていたことに私は気付いていなかった。


お昼を一緒に食べた真緒ちゃんと、昨日と同じように帰りも途中まで一緒だった。


真緒ちゃんと別れた後ひとりでマンションまで帰って来て、自宅の玄関前で家に入れないことに初めて気付いた。


朝、慌てて家を出たことで、どうやら私は鍵を忘れていたらしい。


最悪……。


そうは思っても、ないものはないのでどうすることも出来ない。


仕方なくどこかで時間を潰そうかと思いエレベーターを降りると、外は急に雨が降り出していた。


そういえば、白玖が夕方から雨だって言ってたような……。


マンションのエントランスでスマホの天気予報アプリを立ち上げると、夜まで降り続く表示が出ていた。


そうしている間にも雨が強くなってくる。


この様子では、傘なしでは出られないと思い、仕方なく家の前に戻り母親に電話する。


コール音はするけれど、音を切っているのか電話に出ない。


待つしか方法がないので、玄関横の壁にもたれ俯いてしばらく音楽を聴いていると、ふいに視界にアッシュグレーの髪が入って来た。

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