闇に咲く華
病弱で欠席が多いのか、もしくは登校拒否の生徒の席なら、私に使わせてくれてもいいんじゃないの。
どうせ、空いてるんだし。
欠席の多い生徒の席にしては、一番後ろの窓際はもったいない。
5日も経てば、どれだけ興味がなくても気づくことも多く。
このクラスで、明らかに目立っている生徒はふたり。
ひとりは、軽くてチャラい満島大牙。
もうひとりは、腕にタトゥーの入っている藤波壱。
ふたりは友達らしく、一緒に行動しているところをよく見かける。
そして周りの生徒たちは、このふたりに遠慮しているのか、怖がっているのか基本的に関わろうとはしない。
まあ、誰にでも壁のない満島大牙が、そういう空気などお構いなしで話しかけたりしているし、完全に無視ってわけでもないけれど。
そんなことを考えながら、肘を付いた手に頬を乗せて、2時間目の数学の授業をぼんやりとやり過ごしていると、突然教室の扉がガラリと開いた。
公式を読み上げていた数学担当の教師が驚いたように、開いた扉の方に顔を向ける。
授業中、後ろではなく前のドアが開いたりしたら誰だって驚く。