身代わり・・だけ・・

…栞奈


杏奈が、パリに行って
私は、いっそう
臣君を避けた。

臣君のそばにいると
気持ちを押さえられなくなるし
臣君が好きなのは
杏奈だから。

私は、短大での
勉強とぬいぐるみの作成
絵本の作成に
毎日をバタバタと過ごしていた。

そんな私が短大を卒業し
和洋裁の専門学校に
入ったとき

ばったり‥‥と
臣君に。

臣君は、女の人を抱き寄せ
家に入って行った。

私は・・・・あ然‥‥

えっ、杏奈は?
なんで、あんなだらしない
姿なの?
臣君‥‥どうしたの?

臣君が、壊れるんじゃないかと
思った。



それからは、毎日
臣君の帰りを待って見ていた。

臣君は、毎日、毎日、毎日
違う女の人と、帰ってきて
家に入って行った。

杏奈は、知っているのかとか
考える暇なく
私は、臣君の家を尋ねた。

そして、
「だれでも良いなら
   私をそばに置いて」
と、言った。

怖かった、本当は凄く怖かった。

泣き出すほどに・・・

でも、臣君に壊れてほしくない。
たとえ、臣君に気持ちはなくても

臣君には、私ではなく
杏奈を想っていてほしいし

気持ち悪るかったら
臣君に悪いと思い
電気は、つけないように
お願いした。

最初は、痛みで体がバラバラになりそう
だったが、歯を食い縛り我慢した。

行為が終わり
臣君がシャワーに行った後
身体中の痛みと戦いながら
服を着て家に帰った。

家で、シャワーを浴びながら
涙が止まらなかった。

それからは、臣君から
連絡があると
臣君の家に行き
臣君に抱かれた。

作品を作っていようが
絵本を書いていようが
臣君から連絡がきたら
臣君のそばにいた。

ただ、納期はきちんと
守らないと綾乃さんに
迷惑かけるから
必死に作った。
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