身代わり・・だけ・・

…日本から出す


美都は、綾乃に
「栞奈をしばらく、あの家から
嫌、日本から出した方が良いと思うの。」
と、全てを話して聞かせた。

綾乃は、
「そうわかった。
それならドイツはどう?
私の住まいがあるでしょ。

美都も来たことあるじゃない。
彼処を使って。

栞奈が、気に入ったら
永住してもらってもいいよ。」
と、言った。

美都も綾乃も
栞奈を取り巻く環境が
心配だった。

栞奈の妹の事。
妹の彼氏の事。
栞奈の両親の事。

美都は、息子の幹久に時間を作らせ
会うと幹久を叱りつけた。

そして、今までの状況を話した。
「クライアントあっての
仕事だけど、身内のましてや
娘を助けることも出来ないようじゃ
あんたも、まだまだだね。」
と、言った。




幹久は、びっくりしていた。

妻の由布子に全てを
任せていた・・・
と、言うか家庭の事は
丸投げしていた。

母は、
「栞奈を
あなた達両親からも
妹の杏奈からも
隣の生嶋家からも離す。」
と、言い
「このままでは、栞奈は壊れる

今、栞奈は
私の知り合いの人の所にいる。
精神的に不安定だから」と。


俺は、
「俺から離れてどうやって生活するの?」
と、訊ねた
すると、母は、
「あんた。
それさえもしらないの?
どれだけ、自分の子なのに
関心がないのやら。

栞奈は、人形作家なんだよ。
絵本も書いているし。

だけど、
栞奈は、ぬいぐるみを作る材料費も
すべて、おこづかいとお年玉を
貯めたお金でやってる。

あんたや、由布子さんから
もらってないよ。

ただ、あの家に住んでいるだけ。
食事もほとんど食べないから。

あんた達、夫婦にとって
栞奈に関心がないから
気にも止めてないだろう?」
と、また叱られた。

栞奈は、手先が器用な子で
小さいときから
ぬいぐるみを作り
それを商品として売り

かなりの人気が
あるらしく、
予約待ちのお客さんが
沢山いるらしい。

一人で、デザインして
作成しているから
大きいものは、
一体作成するまでに
二、三ヶ月かかる。

絵本も書いているらしく
母さんが、栞奈の仕事の全てを
管理していると。



何も知らなかった・・
多分、由布子も・・
由布子は、杏奈ばかりだから・・


俺は、
「栞奈に会わせて欲しい。」
と、頼んだが
「栞奈に訊いてみる」
と、母さんから言われた。
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