身代わり・・だけ・・

…不安定な日々


栞奈は、あの日

日本を出国してからも
精神的に落ち着かず
美都さんから病院に
連れていって貰って
治療に励みながら
のんびり、ゆったりしながら
それでも、作品には携わっていたくて
短い時間でも
デザインしたり
作品を作ったりしていた。

1ヶ月・・2ヶ月・・
1年・・2年・・と過ぎて行く中

栞奈は、美都さんや綾乃さんの
お陰で少しずつ、少しずつ回復して行き
今では、病院にも
薬にも頼ることのない
生活をしていた。

今日は、美都さんは、
綾乃さんが、ドイツに来ているから
お出かけをすることに。



『私を心配して行かない』
と、言っていたが
『作品を作っているし
   彼がいるから大丈夫。』
と、言った。

彼は、日だまりの中で
綾乃さんと遊んでいて
私の視線に気づいたのか
首をかしげて
ん?と、言う顔をしながら

トコトコと
やってきて
「マムっ?」
と、私の膝に頭をのせて
甘えていた。
「あー君、綾乃さんと
遊んでいたの?」
と、言うと

「うん。あーババ。」
そう、答える彼の頭をなでなから
栞奈は、彼を抱き上げて
膝に乗せた。

彼は、栞奈の顔を見上げて
嬉しそうに・・
栞奈は、そんな息子に
頬笑みかけていた。

美都と綾乃は、
そんな二人を優しい眼差しで見ながら
「「本当に栞奈は、美しい。
なんで、顔を隠して生きて
来たのか、わからない」」
と、よく話していた。

まあ、栞奈が言うには、
杏奈見たいに可愛くないから
みっともないと
ずっと、思っていた・・と。
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