身代わり・・だけ・・

…妹の結婚


さらに、二年が過ぎ
  綾都が、五歳になった時

美都さんが
「栞奈。
幹久から連絡があって、
杏奈が結婚するみたいで
身内だけの式をあげるから
栞奈にも出て欲しいと
言ってきたよ。
どうする?」
と、言われた。

私は、父の名や妹の名
妹の結婚相手も臣と思い
ビクッとしていたが

私の手をそっと握る
小さな手。

そう綾都は、
私が不安になると敏感に察して
そばにいてくれる。

私は、綾都の手を握り返し
美都さんの顔をみた。

美都さんは、
「栞奈。
何も無理することはないよ。
嫌なら、行く必要ないんだから。」
と、言ってくれた。

その夜、栞奈は綾乃に連絡して
「美都さんを私のせいで日本から離して
尚且、自分の家族から
引き離してるのも辛いの
私が日本に帰ったら
美都さんは喜ぶの?」
と、訊ねた。

綾乃は、
「栞奈、あんたは優しい娘だね。
だけど、美都にそんなこと
言ったら、叱られちゃうよ。
栞奈が、思うようにしたら
いいんだよ。
だれかのためでなくて
一度、日本に戻るなら
戻ってみたら。
今は、急ぎの仕事もないから。」
と、言ってくれた。

綾都を寝かせながら
考えていると
そっと、後ろから
抱き締められた。

「マムから、聞いたよ。
カンナは、どうしたいの?」
「あっ、お帰りなさい。
う~ん······私···本当に
わからないの。

今更、私が行って
本当に喜ばれるのか
それに······
会うのも、怖いから。」
と、言うと
「カンナが、
後悔しないようにしたら良いよ。
僕は、カンナが全てだから。」
と、言ってくれたから
私は、彼の腕の中で
反転し彼の首に抱きついた。
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