身代わり・・だけ・・

…マムの家は、ドイツ


翌日は、ゆっくりしてから
綾乃さんに心配されながら
美都さんと綾都と実家に向かった。

ラルフも前日までも
心配してグチグチ言ってた。

だが、綾乃さんが
「あんたが、気にやむと
栞奈は、もっと不安になる。」
と、叱られていた。

うふふっ、みんなの
優しさが、とても嬉かった。

実家に三人で着くと
父が、迎えにでてくれた。

私と綾都は、
「お邪魔します。」
と、言って中へ

美都は、
「ただいまじゃないのか?」
と、言うが
栞奈は、黙ったまま首をふった。

幹久は、悲しそうな顔をしたが。

「さあ、上がりなさい。」
と、言うと
栞奈は、
「綾都、日本では、
玄関でくつを脱いで上がるのよ。」
と、言うと。
「うん?マム
   くつをぬぐの?」
「そう。」
「はぁ~い。」
「クスッ、よい子」
父や母は、驚いていた。

こんな穏やかに笑う娘を見たのは
初めてだった。
美都だけは、微笑んでいた。

テーブルについて
みんな黙っていると
綾都が
「こんばんは」
と、言うと。
両親は、
「「こんばんは。いらっしゃい。」」
と、言った。
綾都は、頷いてから
「ここは?」
と、訊ねると
美都さんが
「う〜ん。マムが前に暮らしていた場所。」
と、言うと
綾都は、
「マムの家?
マムの家は、ドイツ。
ハイドラー(Heidler)邸だよ。」
と、言った。

父と母、杏奈は
「「「ハイドラー(Heidler)?」」」

美都は、
「栞奈は、二年前に入籍したんだ。
旦那は、ラルフ・ハイドラー氏。
ドイツと日本のハーフだよ。」
と、言った。
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