身代わり・・だけ・・

…臣


臣は、ドイツ語?
と、思いながら
ドイツ語で
『マム?君のお母さんなの?』
と、訊ねる。
『あなた、だれ?
 あなた、マムを壊す。
  マムに近づかないで!』
と、綾都は叫んだ。

栞奈は、綾都の手を握りしめ
意識を持っていかれないように
必死に耐えていた。

そこに····ふわっ······と
『カンナ、僕だよ。』
『·····ラル·····フ···?』
『パパっ!!』

『そうだよ。
カンナ、大丈夫。
僕は、ここにいるよ。
アヤト、とても良い子
さすが、パパの息子
マムを守ってくれて、ありがとう。」
と、綾都に言いながら
栞奈を抱き上げた。

栞奈は、目を閉じたまま
ラルフの首に手を回し
涙を流した。
「ラルっフ‥‥ラルフっ‥‥‥」
「よく、頑張ったね。
遅くなって、ごめんね」
と、言いながら
栞奈の頭に沢山のキスをして
栞奈をギュッと
抱き締め背中をさすった。

「ラルフ、座りなさい。
   栞奈を落とすから。」
と、綾乃さん。

「マム、僕がカンナを
     落とすわけないでしょ。」
と、ラルフは綾乃に言うと
綾都は笑いだした。

「綾乃、ありがとう。」
と、美都。
「バカ息子、心配でグズグズ言うから
なら、日本に飛んで来い。
と、言ったら、父親に泣きついて
自家用ジェットを飛ばさせたんだよ。
まったく、栞奈命なんだから。」
と、言うから
美都は大笑いした。

すると、ラルフが
指でシーッとした。

栞奈は、今日一日緊張していたから
意識を飛ばしていた。

ラルフは、栞奈を横抱きにして
ソファに座った。

それから、美都さんの紹介で
栞奈の父親と母親、
そして妹に挨拶をした。
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