身代わり・・だけ・・

…帰ろうドイツへ


栞奈は、ラルフに抱きしめられて
頭が覚醒されていくと
回りを少し見て

美都の膝に頭を置いて寝てる
綾都の頭を撫でて
綾乃に微笑んで
ラルフの首に顔をうめて
「ラルフ、ドイツに帰りたい。」
と、言った。
「ああ、帰ろう。」
「うん。心配かけてごめんなさい。
我が儘言って、ごめんなさい。」
と、言うと
「なぜ、謝る?
俺が、一緒にいたいから来ただけだよ。
俺が、一緒にいたいから連れて帰る
だけだよ。
カンナ、綾都と帰ろうな。」
「うん。
美都さんと綾乃さんも一緒に。」
「ああ、美都さんもマムもね。」
と、言って
「カンナ、いいの?
もう、日本には帰さないよ。
お父さん、お母さんや妹さんとは
会えないよ?」
と、言うと
「物心ついた時から家族の中に
私は、いなかった。

私の存在を認めてくれたのは
美都さんだけ。
そして、綾乃さんとラルフ。

私は、三人がいてくれたら
いいの。
そして、大切な綾都。
それに・・・」
と、言ってラルフの手を
自分の御腹にあてて
「この子と。」
と、言った。

ラルフは、びっくりしながら
涙をこぼした。

カンナは、その涙を拭きながら
「ごめんね。黙っていて
気づいたのが、ドイツを発つ前日
だったから言えなくて
言ったら、ラルフ、帰さないか
一緒に行くと言うでしょ。
帰らないのは、美都さんに悪いし
ラルフが、一緒にきたら
お仕事に支障でるでしょ
だから······。」
と、言うとラルフは、
「バカっ、何かあったら、
苦しむのは、カンナなんだよ。」
と、言うから
「うふふっ、ありがとう。
そう言ってくれると思っていた。」
と、栞奈。

「栞奈。
私はあなたと綾都と一緒に居れたら
それだけで良いと。
だから、変な気を回すんじゃないよ。」
と、美都さん。
「クスッ、はい。」
と、栞奈
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