身代わり・・だけ・・

…幹久・由布子・美都

父、幹久(みきひさ)
母、由布子(ゆうこ)
祖母、美都 (みと)     


幹久・・

俺は、弁護士をしていて
大きな弁護士事務所を
友人と経営している。

クライアントも多く
毎日、忙しい日々を送っていた。

その為、家の事、家族の事は、
妻の由布子に任せたままだった。

家族や子供達と過ごした事も
ほとんどない。



由布子・・

私は、専業主婦
子供達二人とも
小さい内は、とても可愛く
平等に可愛がっていた。

だが、
長女の栞奈は、
物静かで引っ込み思案。

次女の杏奈は、
社交的で可愛いくて誰からも
誉めらていた。

一卵性の双子なのに
こうも違うのかと思うほどだ。

杏奈は、中学のときに
モデルとして、スカウトされたが
主人に反対されて保留となった。

高校生になったら
出来るように
主人を説得しよう。

杏奈は、高校生になるとモデルの
仕事を始め
私は、夫の世話と
杏奈の送り迎えの日々が始まった。

栞奈は、家が好きで
自分の部屋にこもっているから
ほって置いても大丈夫だと
勝手に思いこんでいた。



祖母(美都)・・

私は、元は弁護士
夫は、数年前に他界。

私の育て方が、悪かったのか
息子(幹久)は、仕事ばかりで
子供の面倒もみない。

小さいときは、双子とも
可愛がっていたのに
由布子さんは、今では杏奈ばかりを
可愛がっている。

家に何度行っても
いつも栞奈は部屋にいて
杏奈は、母親ベッタリだ。

いつぞやは、
栞奈が珍しく
母親に話しかけていたが
由布子さんは、聞いてなくて
栞奈は、寂しそうな顔をしていた。

その栞奈の手に握られていたのは、
ぬいぐるみだった。
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