健診診断と恋と嘘

わざとなのか大きめの音をたてて椅子に座ったその人にハッとして慌てて立ち上がったらテーブルに置いてあったボールペンが落ちるわ、聴力計の蓋が倒れるわ椅子は壁にぶつかって大きな音がするわでちょっとパニックになる。


「わっ、わ……」


慌てすぎて何が何だか分からなくなって変な動きをする私の肩を椅子から立ち上がったその人がぐっと掴んだ。


「ちょっ……落ち着こうか。びっくりさせてごめんね」


低くよく響く、少し掠れた声でそう言われて私は驚いてピタッと動きを止める。


声、すごく好みなんですけど、どんな顔してるんだろう。


そう思いながらその人の顔を見て、またびっくりする。


艶のある黒髪を後ろに流して、綺麗な額を見せているその人は、ドキッとするくらい端整な顔をしたかっこいい人だった。


形のいい眉、すっと通った鼻筋、綺麗な二重の瞳、一つ一つのパーツが綺麗でなんか妙に色っぽい男の人だ。


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