健診診断と恋と嘘

立ち止まっている私に気付いて、私の方に歩いてくるその人と目が合った。


さっきまでの楽しい気分が嘘みたいに全身が冷水を浴びたみたいに冷たくなる。


なん……で、章がここにいるの?


家に来た事だってあったけど、別れてから訪ねてくるような事はなかったのに。なんで今更。


章の目的が分からなくて、怯えながら後退りする私を見て章が苦笑いを浮かべる。


「久しぶり、朔夜。そんな顔するなよ、今日はちょっと……謝りに来ただけだから。ごめん、朔夜」


そう言った章が急に頭を下げて私はすごくびっくりしてしまう。


「謝って許されることではないと思うけど、朔夜に再会したあの日から……あの人が言ったことが頭から離れなくて」


そう言った章が顔を上げて、真面目な顔で私を見る。


「いつも間にか俺にとっての朔夜に想われてる証が許されることになってて。
朔夜、何でも許してくれるからどんどん歯止めが効かなくなって……ひどい事言って朔夜の事、たくさん傷つけた」


そうだったんだ。あれは章の愛情を確かめる行為だったんだ。


そんなこと全然分からなかった。




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