あたしの1番大切な人
「――……大丈夫か?
…着いたけど」
「…っ…うん、大丈夫っ」
謝りはしないのね。…まぁそれはいつものことだから気にしないけど。
――ってか着いたって言ったよね?
えーと、ここは…ドコなんでしょうか。
あたしは放心状態になり、しばらくの間瞬きもしなかった…というか、出来なかったと言った方が正しいかもしれない。
「……ちょっと待って、真琴、ここドコ?」
「夕飯食うとこだけど?」
「いや、それは見ればわかるっ!高くない?こういうとこって」
「…はははっ杏奈バカだろ?」
「は…?どういう…」
「普通、値段気にする?っつーかここ、外見が無駄に高級そうな店に見えるんだよな。まぁ俺も最初来た時"高そ~"とか思ったけどさ。でも、それ以降は俺の行きつけの店。だから高くはない。まあ安くもないけどな」
「そっか…。どんなお店?」
「普通になんでも食える店。和洋中全部食える」
「そうなんだ…」
「――ほら!んじゃあ入るぞ?………ん、手」
「――っ…うん」
真琴に手を引かれ、あたしは一緒にお店に入った。