それはとっくに恋だった
「大丈夫。何の心配もありませんよ。」


診察台に乗って、赤ちゃんの心音を聞きながらカーテン越しに説明をうける。


「これ以上出血が続くようでしたら、薬も必要になってきますのでまた来てください。」


そう言われて診察を終えた。


待合室でまだ膨らんでないおなかに手をあてる。



妊娠する前と、まだ何の変化もないように思えるが、ここには確実に別の命がある。



それを守れるのは私だけだ。


正直、不安すぎで、もし妊娠しなければ・・・という考えが頭をよぎったりもした。



赤ちゃんを諦めるという選択肢はなかったが、不安で赤ちゃんとの未来をうまく描けなかった。




でも、もう私の中では、この子がいない人生はありえない。



失ってしまうかもしれない。そう思って初めてこの子の愛しさを実感した。
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