それはとっくに恋だった
タクシーの中、颯太の声がよみがえる。


どこか嬉しそうに聞こえたのは、気のせいだろうか。



さっきまでさんざん泣いたのに、まだ泣けるらしい。


涙が頬をつたう。


何も考えたくない。そう思って目を閉じた。



「お客さん、つきましたよ。」



声をかけられて目を開けると、確かに見慣れた場所だった。



メーターに見たこともない金額が表示されているけど、気にならない。



お金を払ってタクシーを降りる。



そして、少し歩いたところにある家のインターホンを鳴らした。
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