それはとっくに恋だった
真尋と付き合う時、俺ははっきりと自分の気持ちを伝えなかった。


まるで、自分が梨央を忘れるために、そして真尋が達也を諦めて前に進めるように。


そんな風に、告白というより提案のように真尋に告げた自覚はある。



それは、真尋に断られても傷が浅く済むようにかけた保険で、いわば逃げだった。



結局俺は、恋愛においては梨央に告白もできないまま失恋したあの時からまったく成長できてないヘタレなのだ。


『お前さ、いいかげんにしろよ。このヘタレ!』


「はぁ?!」


梨央にも、真尋にも思われてるお前に、俺の何がわかるんだよ!


口にはしないが心の中で叫んだ。



俺の好きになる子は、いつもお前が好きなんだよ!!


「お前に何がわかるんだよ!」


『お前がヘタレってことぐらい知ってるわ!!』



「何だとコラ!」


会って相談するつもりが、電話で喧嘩になった。
< 90 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop