それはとっくに恋だった
『お前は、真尋ちゃんが好きなんだろ?じゃあ、何ではっきり言わないんだよ!』


「うるせぇよ!こっちにはこっちの事情があんだよ!」


真尋は、まだお前に未練があるかも知んないの!!



そんな真尋に自分の気持ち伝えられるわけがない。


正確には、伝えたとき、ちょっと困った顔をするかも知れない真尋の顔が見たくない。



『事情ってなんだよ!そんな中途半端な気持ちなら、結婚なんてやめちまえ!』



「そんなことできるわけないだろ?俺の子がおなかにいるんだぞ!」


『だから、それが言い訳がましいんだよ!

 そんな理由で結婚して、真尋ちゃんを幸せに出来んのか?母親を大事にできない父親なんて子供にはいらないんだよ!!』


達也の言葉に思わず息を飲んだ。


達也の両親は離婚している。


達也の本当の父親は、一流の商社に勤めていた所謂エリートだった。


その一方で、家庭を顧みない人だったと聞いている。


達也は離婚した後、当然のように母親に引き取られ、その後母親は再婚。


義理の父となった人は、実の父とは違い、俺もよく知っている。明るくて優しい太陽のような人だ。


血のつながらない達也を本当にかわいがって、達也が野球を始めたのもその人の影響だ。
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