雪の降る日に、願いを消して
教科書を引き出しにしまっていると、駿が登校してきた。


その姿に心臓が大きくなった。


駿の後ろから桜子が付いて入って来る。


「よぉ駿!」


「昨日のテレビ見たかよ?」


いつものように話しかけていくクラスメートたち。


しかし駿は大人しく、相槌を打つだけで自分の席に座った。


心なしかその顔色はよくない。


また体調が悪いのかもしれない。


そう思っていると、鞄を置いた桜子がすぐに駿の机に向かった。


桜子は終始嬉しそうな表情で駿と会話を続けている。


駿はあんなに顔色が悪いのに……。


そう思いながらも、振られたあたしは何も言えず2人から視線をそらせたのだった。
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