フォーチュン
「う・・・いえ」

シュンとした私を、オリエは優しく包み込むように抱きしめてくれた。

「大丈夫でございます。少しだけでも宴に出席なされば、無事国務を果たされたことになりますから。ユーリス様に気に入られようとか、そういった小難しいことは考えなくて結構ですよ」
「そう・・・よね。そうよね」

大事なことは、アナが病気で欠席したと悟られないこと。
国の代表が大事な宴に出られなかったという恥を、他国に晒(さら)さないこと。でも・・・。
もし、本当にアナがここに来ていたら、きっとアナは王子様に見初められていたんじゃないかしら。
アナはそれだけの器量と美貌を併せ持っているから。
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