フォーチュン
ここはドラーク王国より南東にある小国・バルドー。
その王宮の一室で、女帝・ヴィヴィアーヌと夫のアントーノフは、娘である第三皇女・アンジェリークに重要な国務を言い渡していた。

「え!私が姉様の代わりに宴へ出席するのですか!」
「そうじゃ。アドリアーナはすでに嫁いだ身。そして招待を受けているアナスタシアは、風邪で高熱を出して動けぬ身」
「じゃ、欠席でよろしいのでは・・・」
「却下ーっ!」

いささか威厳にかける父様の叫び声だったけど、それでも私は両目をギュッとつぶった。
いつものように小言を言われるわけじゃないから、ビクつく必要なんてないのに。
と思い直したアンジェリークは、両目を開けるとまた両親を見た。
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